[Q] 横倍角文字はありませんか

さて継続分の計画調書についてですが,1ページのヘッド部分の「平成7年度」と 「研究計画調書(継続)」が縦倍で印刷出来ず,全角12ポイントで出力されます. また,xdviを使っても画面上の文字は全角のままです. 継続分に関しては本番用を用いるしかないのでしょうか? どなたか教えて下さい.
尚,パッケージバージョン2,マックTEXを使っています.

基本的に,TeX には縦倍角とか横倍角とかの概念はありません. (フォントとメトリックをいじれば可能なのかもしれませんが..私にはできま せん.)

実は,去年結構こだわって,「横倍角」という古いワープロの変な文字を出す 試みをしたことがあります.思い出して,ちょっと書いてみます. ただし,うまくできるかどうかは環境に因ります.
まず,ASCIIの日本語TeXであること. (NTT版で同様のことができるかどうかは,よく分かりません.) そして,pltotf (および tftopl) というコマンドが必要です. (UNIXのASCII日本語TeXをちゃんとインストールするとあるはずです.) さらに,dviファイルから出力するドライバに依存します.
方法は,min10.pl というファイルを元にします. これが無い場合,tftopl コマンドを使って,min10.tfm から作成することが できます.min10.pl で,

(CHARHT R 0.777588)
というのを含む行が幾つかありますが,これは文字の高さを定義しています. この値 0.777588 をすべて半分の 0.388794 にします.エディタで修正して, 例えば min10y.pl などという名前で保存します.あるいは,sedコマンドを 使って
% sed 's/0.777588/0.388794/' min10.pl > min10y.pl
とします.
min10y.pl から pltotf を使って min10y.tfm を作成します.
% pltotf min10y.pl min10y.tfm
この,min10y.tfm は,「横倍角」のフォントのメトリックを与えるものです. これを min10.tfm と同じディレクトリにコピーします.
次に,LaTeX版を使っている人は,macro の lkkh.sty で
\else
% ASCII-jLaTeX 
 \font\twtygt = goth10 \@magscale4
 \let\twentyonegt=\twtygt
 \let\seventeenmin=\svtnmin
 \let\seventeengt=\svtngt
となっているところを
\else
% ASCII-jLaTeX 
 \font\twtygt = goth10 \@magscale4
 \let\twentyonegt=\twtygt
 \font\svtnmin=min10y \@magscale5  % <------ この行を追加
 \let\seventeenmin=\svtnmin
 \let\seventeengt=\svtngt
します. あとは,ふつうに jLaTeX すれば,\seventeenmin の文字が「横倍角」になり ます.(plain TeX版の方も同様にできるでしょ,きっと.)
ただし,問題はドライバーの方で,漢字の縦横の比が普通でないものをサポー トしていないものがあります.その場合は,出力がおかしくなります.
ちなみに,プレビューアの xdvi では,ちゃんと「横倍角」が出てきます. dvi2ps では,うまくいきませんが,dvi2ps の出力をいったんファイルに落と して,ちょっと手で修正してやります.例えば,
/f13 /bf0 99.375 -99.375 BFE
  ^^      ^^^^^^ ^^^^^^^
のよな行を (波線の数字は,ファイルやサイトに因って違うはずです.同じような行が幾 つかありますが,どれを変えるのかは試行錯誤でさがしてください.)
/f13 /bf0 99.375 -49.6875 BFE
                 ^^^^^^^^
                 (半分にする)
と変えてやると,「横倍角」を出すことができます.
「縦倍角」も同様にすればできるでしょう.

こだわり派オプションがポストスクリプトプリンタ (か対応ドライバ)のみのサポートということですので, MS-DOS等でdviout/dviprtを使っている場合の 簡単な解決法をかきます. # 私も普段はdvi2ps-jを使っているのですが.
基本的には,上記の方法と同じですが, dviout/dviprtのパッケージのutils/exjfontという ディレクトリーの中に,min10.tfmから tftoplとpltotfを使って作成したdpminmja.tfmという 平体用のファイルがすでに入っているので, それをjfmファイル用のディレクトリーに移して使います.
次に,lkkh.styのversion-upのたびに書き換えるのも面倒なので, lkkh.styは書き換えず,別のファイルで次のように再定義しておいて, lkkh.styより後にそのファイルを読み込むようにしています. ついでに,8ptと10ptの文字も多少修正しています.

 \font\seventeenmin=dpminmja at 23pt%横倍角
 \font\tenmin=min10 at 11pt
 \font\tengt=goth10 at 11pt
 \font\eightmin=min10 at 8.2pt
 \font\egtgt=goth10 at 8.2pt
ASCII日本語pTeX+dviout/dviprt以外の組み合わせで, うまくいくかどうかは確かめていません.



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